2022年5月28日土曜日

MOONDROP(水月雨)「Quarks」音質編レビュー~水月雨「SSR」と比較してみる~

 だいぶ遅くなりましたが、MOONDROP(水月雨)「Quarks」の使用・音質編レビューを書きたいと思います。

MOONDROP(水月雨)「Quarks」


早速ですが音質編レビューを書きたいと思います。

■MOONDROP(水月雨)「Quarks」音質編レビュー

開封編レビューでも一部記載しましたが、ファーストインプレッションとしては
  1. メリハリがありクリア
  2. ボーカルは近いが同時に薄い感じがする
  3. 小さな箱の中で鳴っているような窮屈感がある

というものでした。




1.メリハリがありクリア
決してカチッとした、「かたい」という印象ではないですが、特に楽器物は音像がしっかりしていて
メリハリとクリア感があります。霧がかかったようなモヤッと感がありません。

2.ボーカルは近いが同時に薄い
距離的には比較的近いと思うんですが、その距離感の割には薄く、実在感が少々足りないと感じる
ことはあります。
上述したように楽器ものは結構いい感じに存在感があるので、ボーカルものを聴いていても
相対的に周りの楽器物のほうが色褪せずに、ハッキリした主張をしているように聴こえます。

3.小さな箱の中で鳴っているような窮屈感
これはエージングとともに気にならなくなりました。
個人的に空間的な広がりが感じられるかや定位感というものは大事にしたいので、
いくら音がクリアでもこの点が欠けると・・・その後の出番は少なくなってしまいがちなので、
気にしていたのですが、うまいこと改善してくれました。

もともと特に横方向の広がりに欠けて、読んで字のごとく狭い部屋にオーケストラを閉じ込めたような、
超えられない壁がそびえたっていたような空間的窮屈感・閉鎖感を感じていたのですが、
そういった閉鎖感はなくなりました。

経験上、ここまで変わることは珍しい気がします。
私は「エージングの効果はある」派の人間ですが、とはいえ例えばエージング前後でそこまで劇的に
変化することはなくて、変化するとしても「根本的に持っているそのイヤホンの性質は変わらない」
程度の変化に留まると思っているのですが、このイヤホンの音場表現は結構変わりました。


箱の裏側にとてつもなく読み取りにくい周波数特性が載っています。
一生懸命読み取ると、3kHzあたりに山があるようです。

MOONDROP(水月雨)「Quarks」周波数特性

聴いていると確かに中高域のあたりでキラッと輝くキラキラ感があって気持ちいいです。
キラキラとしていますが、変に高域に向かって尖ったようなところもなく、聴きやすさも犠牲に
していないのがお上手と思います。

低域は決して量感が多いわけではないですが、必要十分だと思います。
「ドンシャリ」と表現するほどの量感はないという程度で、まったく低域が出ていない不足感はありません。
ほんの少し腰高かもしれませんが、十分な低音です。

チューニング的には万人受けする結構絶妙なところをついているのかなという印象です。
・モヤッとさせては受け入れられない
・でもクリア感演出のために中低域をごっそり削るようなことをしたら熱量が伝わらない
・低域だって諦めたくない
・ただ「ドンシャリですね」とは呼ばれたくない
理想と言えば理想だけれども、結構難しいところを狙ってきたなという感じがします。






■MOONDROP(水月雨)「SSR」と比較してみる

この「Quarks」の最初の印象である
・音質的にはクリアで優秀
・ただし音場表現的には欠けている
という印象、同じMOONDROPの「SSR」にも同じようなことを感じていたことを思い出し、
比べてみました。

MOONDROP(水月雨)「Quarks」と「SSR」
左:「Quarks」 右:「SSR」

「SSR」はハート形?がかわいいMOONDROPのイヤホンです。
5,000円程度で購入でき、音場表現という点は潔く諦めて、価格で実現できる「クリアネス」
この1点に全力投球したようなモデルです。私的には。

脱線しますが本当は今週、とあるイベントがありまして、洋服を新調したりとイベントに向けて全力投球していたのに、
流行り病のせいで台無しです。こんにゃろめ。

話を戻します。このSSRとQuarksの2本を比べてみると
・ボーカルのクリアさ、実在感はSSRに軍配
・空間表現力は「Quarks」に軍配
というところでしょうか。



特に女性ボーカルの実在感に関してはSSRのほうが基本的にいいです。
SSRのほうがボーカルにしっかりとした芯があり、多少表現が細くはありますが、薄さがありません。

ただしやはりSSRの空間表現はなんというか破綻していて、横方向への展開力・表現力が乏しく、
奥行方向に引き延ばされたような・・・変な感覚があります。
なんかブラックホールに吸い込まれるときに潮汐力の変化で物体が引き延ばされるような感じです。
いや、吸い込まれたことないけども。

総合的にどちらをおすすめするかと追われると「Quarks」です。
ボーカルものを聴く人間としてはボーカルの実在感というのは大事にしたいですが、
それを差し引いても音場表現力を含めた総合力となるとQuarksを選んでおいた方が幸せだと思います。


まとめると、気になるところはあるけれども、2,000円という価格設定を考えると、
十二分なパフォーマンスを発揮してくれるイヤホンだと思います。
デザイン等に特にこだわりはなく、別にイヤホンを吟味するほどの興味もなく、
「とりあえずいい感じの安いやつ」をさっさと手に入れたい。
そんな人がこのイヤホンに出会えたら幸せだと思います。

ただ残念ながらそういう方は自分がいい選択をしたという事実にも気づくことはなかなかないでしょう。
もしこのブログを読んでくれている方の周りに”うっかり”このイヤホンを使ってる人がいたら、
「GOOD JOB」と言ってあげましょう。


余計なお世話ですが、このイヤホン売れ続けて定番となるのか・・・ちょっと気になります。
価格帯と音質を考えると定番となってもおかしくはないと思います。が、
音楽好きです。いい音で聴きたいです。という方はわざわざこの2,000円のイヤホンを買わない気もします。
かといって興味のない方がたどり着く選択肢かと言われたら違う気がします。
プレゼントに重宝されるかと言うと、パッケージにしても本体にしても、プレゼントにして格好がつく
ようなモノとしての存在感があるかと言われたら・・・ない気がします。

誰が買うんでしょう?私みたいなイヤホンをコレクションしている変わり者だけのような??
いいものだから売れていくのか。いいものだけど消えていくのか。
なんか気になる1本です。


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