先日のMOONDROP(水月雨)「Aria」の開封編レビューに続き、音質編レビューを書きたいと思います。
MOONDROP(水月雨)「Aria」 |
約10,000円というお手頃なお値段で普段使いに十分な満足感を得られるイヤホンだと思います。
とはいえ「すべてを無難にまとめてきました」が適切な表現・評価かというと
それでは表現しきれていなくて、
"実は細かいところで結構特徴的。そんな細かい個性の集合体を最終的には全体的にうまいことまとめました"
というくらいの言葉は必要な気がします。
後で近いお値段帯で評判もいいfinal「A3000」との比較も書きますが、
どちらもコストパフォーマンスが高くいいイヤホンながら性格がまるで違って、どちらがいいとは
言い切れない・・・でもそれが楽しい。そんな風に感じています。
■音質
まず、私の好きな「NieR:Automata」というゲームのサウンドトラックから聴き始めました。
そのオーケストラのライブものですね。
ゲーム自体はやったことないんですが、重く暗い雰囲気満点のこのゲームの音楽が好きです。
ちなみにゲームの内容自体もすこぶる暗いらしく、「うつゲーの名作」と言われるらしいです。
クリアで抜けが良く、分離感も良くて各楽器の距離感がよくわかり、空間的立体感を感じることができます。
音色も中高域は伸びやかで気持ちがいいです。低域は弾力感があり「キレがいい」という
よりは「ゆっくりじわっと広がっていくor染みていく」そんな低音です。
スパッとしたキレのある低音ももちろんいいですが、こういった空間にじわっと広がっていく
ような印象の低音も、これはこれでいいですよね。
金属ハウジングなのでイヤホン本体もそれなりの重量感がありますが、音もふわふわ軽くなく、
重量感があって個人的には好みです。
ちなみに嫁の重量感はもちろんのこと、私自身の重量感も最近さらに増してきて困っています。
閑話休題。
「この空間の立体感の再現性は、この価格帯のイヤホンではかなり優秀なのでは?」と思って、
続いて加古隆「パリは燃えているか」のカルテットを聴いてみました。
ヴァイオリンの音色が細すぎず太すぎず、いい感じの太さで気持ちよく伸びるのがまた
気持ちいいのですが・・・あれ?
今度は空間の立体感が感じられません。平面的に並べられている感じで、
奥行方向のコントラストが・・・まるでない。。
「ピアノさん。ピアノさん。あなたそこじゃないでしょ。もちょっと後ろでしょ。」という感じです。
私にはなぜそうなるのか?は分からないのですが、空間の立体的再現性や定位感の再現性という
点においてはハマる or ハマらないがあるのかもしれません。
続いてはボーカルものですが、同じようにボーカルも伸びやかで、聴いていて気持ちいいですね。
音の輪郭はそこまでカッチリしておらず、緩めで響き感も少し多めです。
緩めで響き感も多め(大き目?)ですが、全体的にだらっとしたメリハリのない印象にはならず
「伸びやかさ」というポジティブな印象を抱かせるのはチューニングがお上手なのねと思います。
おそらく芯が太くしっかりしているので、多少輪郭がぼやけても全体的な印象はぼやけすぎない
んですかね??そんな気がします。
■他のイヤホンとの比較
<HIDIZS「MS4」と比較>
この「Aria」を聴いていて、特に低域の弾力感や後まで残るというか尾を引く、または粘り気が
あるようなところが、HIDIZSの「MS4」と似ている気がして、比較してみようと思いました。
左:HIDIZS「MS4」 右:MOONDROP「Aria」 |
MS4はたまたま試聴してその独特な弾力感と粘り気のある音に惹かれて購入しました。
正直その時はこのメーカーさんの名前も初めて知ったような状態で、すぐに市場からも
消えるんだろうなんて思ってましたが、何気にショップでも取り扱い続けられていますね。
聴き比べた結果やはり近しいものは感じます。
ただし改めて聴いてみるとMS4のほうがだいぶ極端ではあります。
低域の量感がまずMS4のほうが多いですし、MS4は立ち上がりも立ち下がりもゆったりとしており、
より粘り気がありますし、曲の印象が全体的にスローに感じられます。
対してAriaはそこまで極端ではなく、立下りは比較的遅めだと思われ、それにより伸びやかさや
豊かな響きにつながっていると思うのですが、立ち上がりはそんな極端にゆったりとも感じません。
結果Ariaのほうがより万人受けする音だと個人的には思います。
久しぶりにMS4を聴いてみて、元から「独特な音のイヤホン」とは当然思っていたのですが、
正直・・・ここまで独特だったか・・・と思っています(いい or 悪いではなく)。
<final「A3000」と比較>
このAriaが好印象だったので、
・同じような価格帯で
・比較的新しいイヤホンで
・個人的にも世間的にも評判のいいイヤホン
という条件を満たしそうなイヤホンと比較してみようと思い、選んだのがfinal「A3000」です。
左:final「A3000」 右:MOONDROP「Aria」 |
何度も言っているようにAriaは響きが豊かで気持ちよく伸びてくれ、その点がこのイヤホンの
特徴であり特長なんだと思いますが、対してA3000は真逆ともいえる気がします。
もっと「スパッ」としています。ある種そういった「演出」的なものは控え、
より細い線で忠実に音の輪郭を描く。そんなイヤホンです。
どちらがいいかと言われたら非常に・・・難しい・・・。
クラシック等楽器ものはAriaのその豊かな伸びと響きがより心地よく音色を聴かせてくれますが、
A3000はよりドライな音色で、しっかり音の輪郭を描いてくれることで
ボーカルのリアリティは上を行くとも言えます。
もちろんここもボーカルの伸びやかさを取るか、しっかりした輪郭&リアリティを取るかという
ことで一長一短です。
ので・・・結局は曲や好みに合わせて使い分けを・・・ということになるでしょうか。。
中途半端ですいません。。
ただ言いたいのは、性格はまるで違いますが、あのfinalの「A3000」と比較しても、
A3000よりも3,000円ほど安いお値段で、どちらがいいかと悩ませてくれるイヤホンである
ということです。
まとめるとこの「Aria」というイヤホン、
- 中高域は伸びやかで響きは豊か
- 低域は「キレ」や「パンチ力」という「瞬発力」的な低域というよりはじっくりじわりと広がる低域
- 輪郭は緩くても分離感はよくクリア
- 立体的な空間表現が可能(ただしハマらない場合もあるかも)
- ボーカル重視の方は他の選択肢も検討するとより幸せになれることもあるかも。特にスタジオサウンドが好きな方、ホール感は好きじゃないという方は要検討。
といった感じでしょうか。
お値段も手頃なので機会があればまずは試聴等していると
「値段のわりには!」という発見につながるかもしれませんm(__)m
お世話になります。いつもレビュー楽しく拝見させていただいております。
返信削除もし試聴されたことがあるなら、AriaとStarfieldとの違いを教えていただければ幸いです。
宜しくお願いいたします。
わかめさん
削除コメントありがとうございます。
Starfield残念ながら聴いたことありません。。
今度機会があったら聴いてみますね。
お役に立てず申し訳ない。。
わかめさん
削除試聴しに行く機会がちょうどあったので、Starfield聴いてきてみました。
よろしければ本日10/19のブログ(https://usi-san.blogspot.com/2021/10/19-earphones-review.html)を
参照してみていただければと思いますm(__)m