2023年12月28日木曜日

Dita Audio「Project M」の音質編レビュー

 前回の開封編に続きDita Audio「Project M」の音質編レビューです。

左:TAGO STUDIO「T3-02」 右:Dita Audio「Project M」




今回は写真のようにTAGO STUDIOさんの「T3-02」との比較という視点を交えながらレビューを書こうと思います。
T3-02を比較対象に選んだのは、
  • お値段的に4~5万円と比較的近い
  • その狙いは違うところにあるかもしれないがハウジング内部に金属筐体が設けられている
という点で近しいものを感じたからです。

ちなみに開封編でファーストインプレッションを「結構ウォーム」と書いたのですが、今はまったくそんな感想を持っていません。

■Dita Audio「Project M」の音質

もし私がDita Audio「Project M」の音ってどんな音?一言で。と求められたら

「全体的にはドライ。パキッとクリア。全帯域で不足なく丁寧にまとめ上げようとする中でも、実はBAドライバーによって高域に尖ったものを持たせたような音」

と答えます。これを「一言」というかは・・・わかりませんが。

ダイナミックドライバーも搭載していることもあり、低域に不足感は個人的には感じません。
T3-02と比較すると、量感は十分でも、より低い位置で鳴り空間を喰ってしまうことがなく、私は好きな表現です。
T3-02の低音はもっと視界/空間にぼわっと広がりがあり、相対的に空間を喰ってしまいます。

低域は好きだし十分だとし、逆に高域はどうかと言われると、「いい味出して」います。
先ほどは「尖ったもの」という表現をしましたが、「バランスよく丸く収めた」・・・と思わせておいて、
実は結構高域は(主にいい意味で)刺激的に感じます。

おそらく搭載されているBAドライバーの恩恵なんだとは思うのですが、中高域以上は特に解像度が高いです。「カリッ」としています。
音にはっきりした存在感があり、時に「そんな音まで聴かせてくれる」という経験をすることができると思います。

Dita Audio「Project M」

一方で高域が尖っていることで、全体的に「芯がある印象」「線が細い印象」も同時に付きまといます。
低域には「芯のある感じ」や「薄く引き伸ばしたペラペラ感」といったものは感じませんが、中域~高域にはこの「線が細い」感じがあります。

時に例えばボーカルに芯があることでより実在感が増したりすることもあると思うのですが、
なんというか特に中音域当たりの「肉々しさ」や「肉厚感」、あまりポエムみたいにはなりたくありませんが、
「豊潤さ」「音の豊満さ」みたいなものがもう少し欲しいなという印象になることもあり、
特に今回のように他のイヤホンと聴き比べなんてことをしていると、「中域の充実感」という点ではもう一押し欲しいと感じることも多いです。

ちなみに筆者はどちらかというと豊満な方よりも細めの方のほうが好きかもしれません。

話を戻します。
音場表現的な話をすると、「結構控えめ」だなという印象です。
横に大きく広がることもありませんし、距離感的にも「眼前で鳴る」というよりも、一歩下がった位置で奏でてくれます。
良し悪しは人それぞれで、「ボーカルや楽器に目の前で歌ってほしいんです!!弾いてほしいんです!!」という方は
今回の比較ですとT3-02のほうが向いていると思いますが、私は嫌いじゃありません。
空間を広く使ってほしいという願望はありますが、この「一歩下がった」感は、上品な感じがして好きです。

上述したのは「全体的にサウンドステージが一歩後ろに下がっているように感じます」という話です。
「定位的に奥行感がありますか?」という話だと、私は「ない」「乏しい」と答えます。
まぁそもそも「WハイブリッドIEMイヤホン」であって、「モニターイヤホン」なので、それはそうなるかという感じです。

横方向にも奥行方向にも空間を広く使うことはないとなると、どうしても音の重なりが出てくる部分はあると思います。
ただモニターイヤホンらしく、代わりにどの音も同じように鮮明に聴かせてくれようとするので、逆にメリットを感じることもあります。
私個人的には奥行表現が得意系のイヤホンが好きですが、このイヤホンはこのイヤホンでありです。

■4.4ミリでバランス接続を試してみる

このイヤホンには、開封編でもご紹介した通り「AWESOME PLUG2」という簡単に
3.5mm←→4.4ミリを交換できるケーブルが付属しています。



せっかくなのでこちらも試してみましょう。
3.5ミリアンバランス接続から4.4ミリバランス接続に変更してみると・・・
  1. もともと音質はクリアですが、よりパキッとメリハリが出るようになる
  2. 上記にも関連して、響きが減り「立ち下がり」が早くなる印象
  3. 線は少し太くなる印象
という違いを感じます。実は結構どれも同じことを言っている気もしますが・・・

「少し線の細さを感じる」と先述しましたが、4.4ミリバランス接続にすることで、少しその線は太くなります。
ただしトレードオフで響き感がなくなります。
それゆえによりパキッとしたメリハリがある印象につながるのだと思いますが、人によっては
「パキッとしたメリハリもいいけど、3.5ミリでも十分クリアだから、この柔らかさを残したいな」という
方もいる気がします。
ただこれは、3.5ミリアンバランスでも高いレベルの音を実現しているがゆえに取れる選択肢でもあるのかもしれません。

■まとめ ~で、じゃあ「Project M」と「T3-02」だったらどっち選ぶよ?~

非常に悩ましいですが・・・
同じ3.5ミリアンバランスの比較だと私は「T3-02」を選ぶかなぁという気がします。
「Project M」の4.4ミリバランスと比較すると、あの気持ちのいいパキッと感で「Project M」を選ぶことになりそうですが、
ちょっとその勝負はフェアではないかもしれませんね。
T3-02も4.4ミリのケーブルが販売されていて選択肢にありますが、私は聴いたことがありません。



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