2024年1月28日日曜日

LIZER LAB「JIJUMA」「JIJUMA-BRASS」レビュー ~また違った景色を見せてくれる新しいJIJUシリーズ~

 LIZER LABさんから頭外定位イヤーピースの新しいモデルである「JIJUMA」と「JIJUMA-BRASS」をご提供いただきましたので
レビューしようと思います。

左:「JIJUMA」 右:「JIJUMA-BRASS」

主に既存モデルと比較しつつ、ステンレスプラグである「JIJUMA」と真鍮プラグの「JIJUMA-BRASS」の比較もしていきたいと思います。
「JIJUMA」と「JIJUMA-BRASS」はMakuakeさんで購入いただけるということですので、気になる方はチェックしてみてください。
購入できるのは2024/1/29~とのことです。


見た目的には結構違いますね。プラグ部先端の尖った感じがなくなりました。

左:JIJUMAのステンレスプラグ 右:JIJUMA-BRASSの真鍮(金メッキ)プラグ

左からJIJUMA、JIJUJET-2、JIJU-JET

今回のJIJUMAでは直接音を増やし「嗜好に幅を持たせ、視聴感を変更」したとのことですが、聴いてみると「なるほど確かに」という感じです。
基本的にJIJU-JETやJIJUJET-2に比べて
  • より幅広い帯域が充実
  • 音場感は控えめ
という特徴を持ったイヤーピースだと感じました。

■「JIJUMA」の音質

私はJIJU-JETの広大な音場感、奥行感を表現できる空間表現力が大好きですが、
例えばそんなJIJU-JETと今回のJIJUMAについて、「分離感はどうですか?」と聞かれたら、
「共に良好です」と答えます。
が、共に良好なのですが、そんな良好な分離感を実現する方向性、方法論がまるで別という印象です。

JIJU-JETには先にも述べたように奥行感ある空間表現力があり、音によって異なる距離感を再現・表現する定位感があることで
音が重ならない分離感を実現しています。

対してJIJUMAは耳に届ける帯域の幅の広さ、つまりは一音一音の音の成分の違いを聴かせることで
分離感や独立感を感じることができます。
特にJIJU-JETと比較すると顕著だと思うのですが、かなり各帯域を削ぎ落すことなく
耳に届けることができるようになっており、特に中低域の欠落がなくなっているように感じます。
JIJU-JETは全体的に線が細く、印象としては高域に寄る印象がありますが、JIJUMAはより中域~中低域にキンキンしない落ち着きやどっしり感があります。
この中低域の充実具合は結構効いていて、同じ曲を聴いてもかなり違う景色になると思います。

左からJIJUMA、JIJUMA-BRASS、JIJUJET-2、JIJU-JET

JIJU-JETと比較するとその空間表現力、特に奥行方向の表現力はかなり控えめです。
どのくらい控えめかというと、例えば「頭外定位イヤーピース」なるものを知らない友人に

「ほらこれが頭外定位イヤーピースだよ」
「ほらこれが前方定位イヤーピースだよ」
「このイヤーピースの音場感試してごらんよ」

と言って試してもらったところでその価値、違いは伝わらないくらいに控えめです。
順番に聴き比べればわかります。
私も通常のイヤーピースとJIJIMAとで聴き比べをしたところ、確かにそこには頭外定位や前方定位感が感じられます。
が、上述のように「これとこれを比較して違いを見極めるんだ」という意識を持って聴き比べをしないと・・・
パッと違いを認識することは難しいのではないかと思います。
ただ私が駄耳なだけかもしれませんが。。。
JIJU-JETの空間表現力が大好物の私としては残念ではありますが、より幅広い帯域の再現性とトレードオフになってしまうものなんだと思います。

■JIJUMAとJIJUMA-BRASSを比べてみる

今回のJIJUMAシリーズにはプラグがステンレスのものに加えて、真鍮のものも追加されました。
真鍮に関しては金メッキが施されたもののようです。
金メッキを施すことで、真鍮で発生しやすい錆を抑え、金属アレルギー対応にもなっているようです。

早速ですが私はこの真鍮モデルの「JIJUMA-BRASS」のほうが結構好きです。
しかしこんな小さなパーツの素材を変えただけで違うものなんですね。



LIZER LABさん公式的には
  • JIJUMA(ステンレス)=エッジの効いた歯切れの良い音
  • JIJUMA-BRASS(金メッキ真鍮)=柔らかく心地の良い音
と定義されています。
個人的にはある意味JIJUMA-BRASSのほうが歯切れがいいとも言えるのではないかなぁという感想です。

JIJUMAとJIJUMA-BRASSを聴き比べてみると、JIJUMA-BRASSのほうが
立ち下がりが早く、一音一音の広がる響き&余韻、そのじわっと広がる響きや余韻同士が重なり合い、にじみあうことが少なく、
結果全体として音の粒立ちの良さ、独立性の高さ、先ほどの話題でもあった分離感の良さみたいなものを感じます。
特に音数が多い中でボーカルもある曲なんかでは、周りの楽器類の音に埋もれないボーカルの粒立ちの良さを感じました。

ということで私的には、
  • JIJUMA-BRASS(金メッキ真鍮)=柔らかく心地が良く、粒立ちのいい音
という感じです。
「歯切れのいい音」ではなく「粒立ちのいい音」としたのは、歯切れがいいというと
なんとなく鋭利感があるのですが、鋭利というのとはちょっと違うからです。
BRASSの音には公式が仰っているように柔らかさ、優しさ、滑らかさがあります。
「小さなお子さんのために角は丸める処理しておきました」みたいな感じです。

■最後に

この「JIJUMA」は「ジジュエムエー」ではなく「ジジュマ」だそうです。
私は最初「ジジュエムエー」と呼んでいました。
開発者さんが過去に聴かれて大変感動された「MINIMA」というスピーカーからインスピレーションを得ているそうで、
「JIJUシリーズにも感動したあの『MINIMA』の音を宿したい」という想いが込められているんだそうです。

やはり個人的には、JIJUシリーズを経験したことがない人に「頭外定位」「前方定位」「広大な音場感」という意味で
JIJUシリーズをすすめるならJIJU-JETやJIJUJET-2をおすすめします。

逆にJIJUMA及びJIJUMA-BRASSをおすすめするなら、既にJIJUシリーズを試したことがある方や、
お使いの方ですね。
JIJUMAを持っていることで聴ける音、見える景色のバリエーションが広がります。

帯域バランスという意味では今までのJIJUシリーズと比べてもさらにレベルが上がり、それにより
今までのJIJUシリーズとはまた違った景色を見ることができるこの「JIJUMA」。
気になった方は一度お試しください。

3 件のコメント:

  1. はじめまして。最近こちらのサイトを見つけ楽しく読ませていただいてます。以前ADVANCED「M5-12D」をレビューされていて私も欲しいと思っており、現在9万円くらいでフリマで出ており購入しようか非常に迷っております。他にもテクニクスのEAH-TZ700もフリマで出ておりどちらも欲しいのですが、二つとも購入する資金がありませんが、まずはADVANCED「M5-12D」を思い切って購入しようと思っているのですが何かご助言いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

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    1. 匿名様

      コメントありがとうございます。
      個人的には中古とは言え高額ですから、可能であれば試聴されてから購入するのをおすすめいたします。
      私はM5-12D好きですが、あくまで「私は」でもありますので・・・
      試聴が難しいようであれば・・・まさに「思い切る」しかないですかね・・

      また、フリマに出ているものの程度にもよりますが、現在ですとeイヤホンさんにAランクの中古品が11万円弱であるようですので、場合によってはそちらも候補に入れて検討いただくのがいいかなぁと思います。eイヤホンさんのAランクであれば経験上、かなりキレイだと思います。

      M5-12Dか?EAH-TZ700か?という点では、私はEAH-TZ700に関しては試聴しかしたことがないのですが、個人的にはM5-12Dをおすすめします。
      EAH-TZ700を聴いたときは正直・・・特になにも良さを感じなかったと記憶しています。。

      またM5-12Dはたしか・・・もう廃版だったかと思います。「欲しければ今のうち」でもあるので、そういう意味でも私ならM5-12Dを選択するかなと思います。

      あまり参考にはならないとは思いますが、何かしらご参考になれば幸いですm(__)m

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    2. うし様 早速のコメント本当にありがとうございます。非常に参考になりました。eイヤホンさんのほうも検討してM5-12Dを購入したいと思います。そして将来はお金を貯めて、うし様の№1イヤホンのHA-FW10000も手に入れたいと思っております。(こちらはできれば新品で)これからもレビューよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。

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