2020年6月20日土曜日

【レビュー】ADVANCED「M5-12D」~使用・音質編~

今回は、前回のADVANCED「M5-12D」の開封編レビューに続き、
使用・音質編レビューを書きたいと思います。





開封編レビューでも書きましたが、もともとはこのイヤホン、眼中にありませんでした。
Unique Melody「MEST」やVISION EARS「EVE 20」がどんなもんかと試聴しに行ったのですが、
「MEST」→ロマンあふれる刺激的なスペック・構成ながら、音は・・・良くも悪くも実に普通。
    刺激的な構成ながら「自然な音」と考えればこれはこれでありなんでしょうが、
    どうやら個人的には構成なりの刺激を求めていたらしく、「うーむ・・」と。

「EVE 20」→エネルギッシュだが分厚すぎるというか音が「ボワンボワン」しすぎていて
       締まりが感じられず全く好みに合致しない。

ということでどちらも私には刺さらず。
そんな時になんとな~~~~く近くにひっそりと置いてあったこのイヤホン・・・の下位モデルである
「ADVANCED M5-6D」が目に入り試聴。こちらも音に締まりがなくて好きになれず。
デザインも嫌いだし、下位モデルの音からして期待はできないだろうと思いつつも、
「まぁ一応上位モデルも聴いてみるか」と試聴してみたのが、このイヤホンです。





下位モデルである「ADVANCED M5-6D」はモヤモヤして好きになれなかったわけですが、
この「M5-12D」は想像とは真逆のスッキリした音で音抜けの良さを感じました。
で、購入してしまったわけです。

■音質

特徴をまず列挙するなら
・奥行方向にも上方向にも抜けが良く、広い音場表現
・特に奥行方向への音場の広さを有効に利用した立体的な音の配置

といったところでしょうか。
特徴であり個人的に非常に気に入っている点とも言えます。

空間の使い方が上手で、横方向の広がりは勿論のこと、奥行方向の空間の広がり・使い方が
非常に秀逸に思えます。

この奥行方向に広く使え且つ、様々な距離感で音を配置できる(音の配置を再現できる)おかげで
決して1音1音のエッジが立っているわけでもないのに、というかむしろ輪郭は緩い
くらいだと思うんですが、それでも様々な音の存在が重ならず、分離感・解像感も非常によく感じます。
この広く立体的な音場表現や音抜けの良さ、輪郭の適度な緩さ、響きの大きさによって、
非常に「ホール感」のある表現をしてくれて個人的には好きです。

ホール感や音場の広さという意味では、私の大好きなVictor「HA-FW10000」なんですが、
同じように広い空間を再現すると言っても、その表現の仕方は全く異なります。
FW10000はその遮音性のなさで現実世界の周りの空間と馴染ませて、
閉塞感のない音場を生み出す印象ですが、このM5-12Dは断然HA-FW10000よりも
遮音性が高く、周りの現実空間は遮断した、あくまでオリジナルの空間を作り出します。
「閉ざされているけども広い空間表現」という感じです。


音自体はドライで軽快な質感で、表面に「毛羽立ち」「ざらつき」みたいなものを感じることもなくはなく、
好みでいえばもう少しウェットで滑らかな方が好きですが、
弦楽器者なんかはハマったりすることも多く、これはこれでありかなと思っています。

ボーカルは非常に近くで鳴らしてくれ、ボーカルメインで聴きたい方は
「ボーカルはできるだけ近くに立ってほしい」という方もいらっしゃるかと思いますが、
そんな方にはマッチすると思います。

中域の特に女性ボーカルの音域は表現のされ方に振れ幅がある印象で、
ものすごく柔らか、あたたか、緩い、響きが大きい感じに鳴らすこともあれば、
逆に人間の声のふくよかさみたいなものをそぎ落としたかのように、鳴らすこともありました。
甲高い声のボーカルだとそんな「人間味のある音」をそぎ落としたかのような
表現をする印象で、最初に聴いた時は何度も聴いている声なのに「え?これ誰の声?」
「なんでこんなに機械音的な感じに聴こえるんだ?」とびっくりしました。
もちろん実はご本人の声は「こちらが正解」という可能性も・・・ありますが。

上記のように中域の振れ幅によっては違和感を感じることもありましたが、
とにかくこの空間の使い方の上手さと音抜けの良さ、それによる広い音場感と分離感が非常に気持ちいいです。
このイヤホンで今まで散々聴いてきた曲を巡っていると、
「次はどんな空間(再現)してくれるんだろう」「また今までは聴こえなかった音を聴かせてくれるだろうか」
とワクワクします。

■装着感

開封編レビューでも書きましたが、非常に分厚いです。
装着してみると、

正面からはあまり分かりませんが


斜めから見るとイヤホンが浮いているようです。
勿論イヤーピースの種類やサイズを追い込むことで多少はより馴染ませることは
できるとは思いますが・・・


ちなみに↑のモデルは私ではありませんが、
私自身が装着しているとハウジングの上部が耳に当たっているようで、
長時間つけていると当たっている部分が最初は少々痛くなりました。
が、今は慣れたようです。

ステムは比較的耳の奥まで入る対応だと思いますので、
日頃よりも1サイズ下のイヤーピースにしています。

■その他

ケーブルは1.5mと標準的なケーブルよりも長いようですが、
実際にはたぶんそこまでの長さは・・・ないですかね。

普通公称値1.2mと謳っておいて念のために1.2m+αという長さのケーブルが多いかと思いますが、
このイヤホンに関しては1.5mと謳って、実際には1.4m+αくらいです。
まぁ、この長さの足りなさで怒る方はいないとは思いますが・・・一応。



極めて個人的にはデザイン面でも装着感面でも課題はあるのですが、
それを凌駕する音があるイヤホンです。
ここまで十分に楽しめているので、イヤーピースやリケーブルでの音質面やフィッティング面での
追及を実はほとんどしていません。
それだけデフォルト仕様で新しい発見をさせてくれるし、
楽しみにできる要素を提供してくれるイヤホンです。

店頭でも非常に・・・地味な扱いをされているイヤホンな気がします・・・
私がお邪魔したところでも一応新製品の棚にはありましたが・・・
なんの説明もポップなんかもなく・・・ただ置いてあるだけ・・・
もし機会があったら皆さんも一度試聴をしてみてくださいm(__)m
何か新しい発見を・・・もたらしてくれるかも・・・しれません。





2 件のコメント:

  1. この手のシュア掛けカナル型イヤホンで最適な装着位置を追い込むときは、イヤーピース無しでの装着で最も安定する位置を探すと良いですよ
    もちろん、耳穴が小さいor独特な形でそういったことができない場合もありますが……
    追い込んでみると存外もっと小さいイヤーピースのが良かったなんてこともあり得ますし、逆に大きめで蓋にした方が良かったということもあります

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    1. 匿名様
      コメントありがとうございます。
      また、このブログの仕様の理解が不足しておりまして、ずっとコメントに気づけませんでした。
      せっかくコメントいただきましたのに申し訳ありません。。

      >イヤーピース無しでの装着で最も安定する位置を探すと良いですよ
      そうなんですね!
      初めて知りました!今度是非やってみたいと思います!!
      ありがとうございます!

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