2021年2月6日土曜日

Unique Melody「3D Terminator」のレビュー~使用・音質編~

 先日開封編レビューを書いたUnique Melody「3D Terminator」を1週間ほど使用したので、使用・音質編のレビューを書きたいと思います。



ダイナミックドライバー3基という構成と、それによって「ユニークなサウンド」と紹介され、また
「3D Terminator」というインパクトある名前からも、よほどインパクトのある or 奇抜な音かと思いきや、
個人的には全然そんなことはなくて、「収めるところに収めてきた」「うまくまとめてきた」そんな印象の音です。
ターミネーターなんて言われたら…そりゃあアーノルドさん的なゴリゴリインパクトを想像しますが
全くそんなことありません。いい意味で。





今回は
と比較しながら書いていこうかと思います。これらを比較対象に選んだ理由としては
「CW-U12aex」:価格帯が近い&当初この「3D Terminator」は立体的な音場表現が苦手では?という
ファーストインプレッションがあり、そのため対してその辺が上手と思っているこの「CW-U12aex」をあてました。
「Polaris2」:価格帯が若干近い&色が似てる(←おい)ということで比較対象に選びました。
っていうかPolaris2ってもう終売してるんですね。なんか悲しいです。
左:Polaris2 中央:CW-U12aex 右:3D Terminator


■音質について

まず総論として、この「3D Terminator」、良くまとまったイヤホンだと思います。
どこが張り出すとか無駄に目立つといったやんちゃ感が名前に似合わずなく、「高域が刺さる」や
「低音が被る」といった不快感がなく聴けるイヤホンです。

低音はそこはさすがに小径ながらダイナミックドライバー2基使用しているだけあって、
Polaris2に比べるとかなり量感的に減り、中低域~低域の厚みは薄くなりますが、少なくとも個人的には
必要十分な量感で、謳い文句にも「タイトでスピード感のあるレスポンスのいい低域」とあるように
その質としても締まりのある個人的にも好きな低域です。

例えばNoble Audioの「M3」なんかは、こちらも締まりのある低域を鳴らしますが、
目の前の空間の低いところで鳴ることで空間的なすみ分けをすることで「量感は十分でも他帯域に被らせない」という
ことを実現しているようにも聞こえるのですが、この「3D Terminator」はそういった空間的な
すみ分けという感じではなく、低域もど真ん中 or 真正面で鳴っているけど分離の良さで被らせない。
そんな印象です。

3D TerminatorとM3の低域の展開イメージ

低域に対して中高域については、その伸びやかさという点では「CW-U12aex」と比較してももう一歩かな?
という印象です。当たり前のことながら聴く曲にもよるのですが、結構「ボーカルがもう少し出てきてくれないかな…」
「もう少し出てきてくれた方がリアリティや実在感が増す気がするんだけどな…」と感じることも多い印象です。
「出てきて」というのはボーカルの距離の問題ではなく、どこの帯域をより厚くするかという意味です。
もう少し中高域を厚くすることでより実在感が増す気が…します。

ただ、これはイヤホンと曲と聴覚等々の組合せの問題なんでしょう。こんなことを言いつつも、
例えばRADWIMPSの「大丈夫」は非常にはまりました。
野田洋次郎さんの声とこのイヤホンがマッチしたんでしょうか。

「CW-U12aex」との比較で言うと、中高域の伸びや抜け感という点では「CW-U12aex」のほうがいいと思いますが、
その分「3D Terminator」のほうが輪郭がしっかりしていて、カチッと感があります。
「CW-U12aex」くらいの輪郭の甘さ、輪郭が流れる感じなら許容範囲という感じが個人的にはあるんですが、
やはりこうよりカッチリとした音を比較して聴いてみると、カチッとした硬めの音が結構好きな私としては
このくらいカチッと輪郭が明瞭なのはいいなと思わされます。

先述したように当初、音場表現や空間表現は苦手かなという印象だったのですが、最終的には、
壮大なホール感がありますとは言いませんが、「空間表現は苦手」ということもないなと思っています。
当初はものすごくボーカルを近めで鳴らすイヤホンというイメージで、そういう系統のイヤホンって
ボーカルを聴くにはいいですが、その周りや後ろの空間描写が苦手だったりするイメージなんですが、
この「3D Terminator」はボーカルを近くで聴かせつつも周りの空間描写まで疎かにしない再現性があります。
というか今はそこまで極端にボーカルを近くで鳴らすという印象もありません。
はて…イヤホンのエージングの問題か…はたまた私の耳がおかしかったのか…



■その他

上の画像でもわかるようにハウジングはまぁ小さくはありませんが、重さも感じませんし、装着していても快適です。
遮音性も高く音楽に集中できます。


非常にまとまっていて、逆に言うと何かすごく秀でたところがあるかと言われるとなかなかに難しいところですが
音的には贅沢を言わなければバランスが取れていていいと思います。
そしてなんといってもデザイン的に綺麗です。
もし綺麗な女性がこの綺麗なイヤホンをして電車の中で隣だったら、ソーシャルディスタンスを無視して
「お友達になりませんか?」と近づいて行ってしまいそうです。

そんな美しいイヤホンの動画を、需要があるかわかりませんが、載せておきます。



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【追記】2021/2
もう少しボーカルが出てきてくれないかな?もう少しリアリティを出せないかな?
ということで、リケーブルを試してみました。

WAGNUS.の「Water Lily」です。もともとのコンセプトが存在感が大きすぎる低音を
抑えるためのケーブルで、私も主にそういった目的で使用しています。
Unique Melody「3D Terminator」とWAGNUS.の「Water Lily」
どちらも青色で色的にはマッチ

色的には一番マッチしているでしょうか。ただ、音的には…ちょっとマッチしなかった印象です。
ボーカルは前に出ますし、艶っぽさも出ますが、輪郭がぼやけて全体的に音像がボケた
印象を受けました。
また、ピンの太さもマッチせず、奥まで挿し込めませんでした。無理やり差し込んで、
メス側が拡がるのも嫌なので中途半端なところで諦めました。

Rosenkranzの「HP-Rainbow」です。Hyla「CE-5」のリケーブルを探しているときに
このなんとも言えない毒蛇的なインパクトのある色合いと、奥行方向の定位感が
より良くなる気がして購入したケーブルです。
Rosenkranzの「HP-Rainbow」
装着写真撮るの忘れました…

こちらもWater Lily同様にボーカルが前に出てきて、尚且つ輪郭もボケませんが、
目の前の空間をボーカルが締めすぎて、背景の描写が薄くなる気がして、
「ちょっとこれはボーカルが目立ちすぎ。空間喰いすぎ」という結論でした。

3.BriseAudioの「UPG001SE」
BriseAudioの「UPG0001SE」です。今回の3本の中では一番これが良かったです。
3D TerminatorとBriseAudio「UPG001SE」
黒いケーブルはなんにでも合います

ボーカルが立ち位置的に前に出るというよりも、ボーカルの音域の濃密感が増し、
色濃く太い線で主張してくれるようになります。
こうして色々と聴き比べると、結局よりさらっとドライでさっぱりした付属のケーブルの
音もこれはこれで悪くないなと思うに至り、標準ケーブルに戻してはいますが、
この「3D Terminator + UPG001SE」の濃密さもまた欲しくなる時が来そうです。

最後に、この3D TerminatorはNoble Audio等と同様に、
2pin部分のみで支える構造なのですが、やはりこの構造は怖いですね。
うっかり変な方向に力がかかってピンが曲がったり…最悪折れたり…
恐ろしや恐ろしや。。リケーブルしていてもヒヤヒヤしていました。
そして確実にピンが緩くなりました。接触不良にはなっていませんが…これも怖いところです。
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