2021年3月28日日曜日

EMPIRE EARS「HERO」のレビュー~使用・音質編~

 先日購入したEMPIRE EARS「HERO」を1週間ほど使用してみたので、音質編レビューを
書いていきたいと思います。今回は他のイヤホンとの比較が多めです。



試聴して非常に気に入って購入したわけなんですが、非常に気に入ったが故に、
私の大好きなVictor「HA-FW10000」を超えてくれないかという期待と、超えられてしまったらどうしよう・・・
超えられたくない・・・という複雑な思いで1週間使用しました。

で、結果はというと・・・




■音質

試聴した際の印象通り、非常に中高域の抜けが良く、個人的に苦手なBA多ドラに感じる
位相がずれているようなボヤつきや空間の重苦しさを感じません。
たまにBA型イヤホンで感じる高域の伸び不足によると思われる「尻切れトンボ感」もなく、
非常に伸びやかです。

低音はかなり低いところからパワフルに且つ繊細に鳴ってくれます。
量感的には、某ショップでは「いい塩梅」旨の表現がされていましたが、少なくともそこまで
低音の量感を求めない私にとっては必要十分すぎる量感です。
量感十分&繊細で締まりのあるいい低音を鳴らすので、私の手持ちの中で低音の代表格である
Hyla「CE-5」と比べてみようと思ったくらいです。
比較については後述します。

そんなパワフルな低音を鳴らしますが、中域をマスクされずにいい感じできちんと主張します。
低域と中域で空間をすみ分けているという感じではなく、低音は結構真ん中で鳴るんですが、
それでも中域には埋もれない独立性があり、きれいに主張&輝きます。




Victor「HA-FW10000」と比べてみる
先述したように私の中ではずっとトップに君臨するFW10000を超えてくれないだろうかという期待と
お願いだから大好きなFW10000を超えないでくださいという思いを抱えながら比べました。
二人の大好きな女の子への気持ちで揺れ動いた若かりし日を思い出します。
何のことやねんという話です。
ちなみにどちらもケーブルは付属のもので、イヤーピースは最近お気に入りのJIJU-JETです。
(下記写真ではHEROに装着しているのはJIJUです)
EMPIRE EARS「HERO」とVictor「HA-FW10000」
HEROとHA-FW10000

で、結論どっちが良いか(好きか)と言われたら、FW-10000です。
もちろん最大限フェアに評価しているつもりですが、ひょっとしたら「FW10000大好き」という
私情が入っているかも・・・しれません。

「HA-FW10000のほうが良い」と判断した要因として大きい部分の違いを図に表してみました。
HEROとFW10000の音の印象の違いをビジュアル化
HEROとFW10000の音の印象の違いをビジュアル化してみる

私の感じ方としては「音の中心ほど重さがある」ような重厚感・濃密感がFW10000のほうがある
と思います。そして、それ故にだと思うんですが、FW10000のほうがより鋭利な表現ができます。
対してHEROは音の一粒一粒を観察したときに、より音の密度・重量配分が均一で、
全体的に少々薄めor軽めな印象です。

この中心に重量感があることで、例えばよりボーカルにリアリティや実在感が出る気がします。

ただし低域の量感なんかは全然お話にならないくらいHEROのほうが充実していますし、
遮音性なんていう面でもお話になりません。
私はFW10000の遮音性のなさが好き若しくは、遮音性を犠牲にしているから(こそ)得られる
開放感なんかが好きなので結果的にFW10000に軍配としましたが、
人によってはHEROのほうがいいという方もいるでしょう。


■低音をHyla「CE-5」と比較してみる
低音の量感や質感をHyla「CE-5」と比較してみます。
EMPIRE EARS「HERO」とHyla「CE-5」

周波数特性のカタログスペック的には
  • EMPIRE EARS「HERO」:5Hz~40kHz
  • Hyla「CE-5」:20Hz~40kHz
と結構違うのですが、個人的にはこの両イヤホンの低音は量感、質感ともに非常に似ていると思います。
量感は同じくらい十分なもので、私はもうお腹いっぱい。

上記周波数特性のカタログ値とは矛盾してしましますが、なんかより低いところはCE-5のほうが
鳴っているような気がしたので、信号発生ソフトも使って比べてみたのですが、
やはり20Hz未満のひくーーいところはむしろCE-5のほうが鳴らせている気がします。

質感的にもどちらも粒度が細かく密度感・凝縮感があって、薄っぺら感のない素晴らしい質感です。
が、ひょっとしたらHEROのほうがちょっときめ細かさや柔らかさがある・・・かな?という感じです。

ブログに書くなら何か違いを見出したいという思いで聴いて、そして書いているので上記のように
違いも書いてみましたが、基本的には似ていると思います。

「EMPIRE EARSにしては王道のチューニング」という評価があるようですが、
低音に関しては「ただただ丸くなってたまるか。これが俺たちの在り方だ」みたいな意地と
プライドを勝手に感じています。


ADVANCED「M5-12D」と比べてみる
今回のHEROと同じような経緯=買うつもりなかったけどちょっと試聴してみたら良くて
買ってしまった。というイヤホンで、値段帯も近いのがこの「M5-12D」です。
「M5-12D」。HEROと並べて写真撮るの忘れました。


「M5-12D」も同じようにその抜けの良さや見通し良さが気に入って購入しました。
値段帯も気に入ったポイントも近いものがあるので、比較してみます。

まず低音の量感的にはHEROに軍配です。HEROは低域はダイナミックドライバーが担当していますが
M5-12DはBA+ダイナミックのハイブリッド構成ではなくBAのみの構成で、2基のBAが低域を
担当しているので、まぁ想像に難くありません。

他の点でいうと
  • 音像がよりクッキリ&ハッキリしているのはHERO
  • 音像との距離感がより近いのはM5-12D
  • より奥行感のある空間表現をするのはM5-12D
という感じでしょうか。

音像がハッキリしている・ボヤつかないという点は私の中でプライオリティが高いので、
総合的にはHEROのほうが好きですが、特にLIVEものやオーケストラ等においては
M5-12Dの奥行感が重宝する場面もありそうです。


最終的に「やっぱり自分的にはFW10000かな」という結果が出とことで、やはりちょっと
ホッとした自分がいます。やはりFW10000が好きなんですね。

とは言え、このHEROもかなりいいイヤホンだと個人的には思います。
低域の質感とパワフルさ。そしてそのパワフルな低域に埋もれない中高域の存在感&輝き、
そして空間の見通しが良い抜け感。
少なくとも私基準では不動のNo.1のFW10000を比較対象として引っ張り出し、
低域の量感や質感でインパクトのあるCE-5を比較対象として引っ張り出させ、
多ドラでありながらその位相のずれが気にならず見通しの良い空間を聴かせられる
その緻密さが素晴らしいM5-12Dとも聴き比べたい気持ちにさせる完成度の高いイヤホンだと思います。
ちなみに同時にNoble Audioの新作「ZEPHYR」64 AUDIO「Nio」なんかも試聴しましたが、
私はHEROのほうが好きでした。
もう既にいくつか中古市場にも顔を出しているようで、一般的には人気がない??のかもしれませんが・・
もし試聴する機会があれば是非してみてください。
きっとハマる人はいる・・・はず・・・




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