今更ですが、私の大好きなVictor「HA-FW10000」のレビューを書きたいと思います。
大好きなイヤホンゆえに様々な場面で比較対象として登場するものの
このブログには「HA-FW10000」単独の内容で書いていなかったので、書いてみようと思った次第です。
■Victor「HA-FW10000」の音質について
とりあえず私が好きなポイントを列挙してみます。
1)空間の再現力の高さ。壮大なホール感。
LIVEものはその空間の広がりを適確に再現。もちろん私は実際のその場にいたわけではないのですが、
LIVEの映像を見ながら聴いていると、耳で聴こえる空間の広がりと、映像で見ている
空間の広がりがマッチして、よりリアリティ&没入感があります。
2)スッキリ&ハッキリ&くっきりしながらも優しくまろやかな音質。
ここがこのブログのタイトルにした「スフマート」的な部分です。
スフマートとは絵画に関する技法のことのようで、有名なのがレオナルド・ダ・ヴィンチの
「モナ・リザ」のようです。
スフマート技法による「モナ・リザ」 |
モナ・リザの絵は輪郭線がまったくないんだそうです。私なんかが絵を描いたとしたら、
顔の輪郭を描き・・・目の輪郭を描き・・・と思い切り境界線を線で描いていきますが、
(ちなみに私はドラえもんとアンパンマンとコロ助しか書けません)
モナ・リザはそういった輪郭線が存在せず、薄い絵の具を何度も何度も重ね塗りし、
境目のない色彩の移り変わりで輪郭を表現しているんだそうです。
「だって現実の人に輪郭線なんてないだろ?」という話でダ・ヴィンチが写実性を追求した
結果の技だそうです。
(はっきりとした輪郭がないがゆえに見る角度や光の加減で表情が変わって見えたり
することで「学校の美術室のモナリザの表情が・・」みたいな話が出てくるらしい。)
このスフマートの音楽版がこのHA-FW10000(の音)という印象を持っています。
音の分離がしっかりしていて解像感がありますが、決してエッジが立った感じがありません。
これはスフマートのように音と音の境界線をエッジ(輪郭線)で再現、表現するのではなく、
広いサウンドステージも有効に使い、それぞれの音の質感の違いや距離感、定位感等の適確な再現によって
聞き手に境界線を感じさせる。
境界線をしっかり把握させるのに、それはエッジによるものではないので、
硬さはなくむしろ「優しさ」や「まろやかさ」が存在し、結果スッキリやくっきりという
印象と優しさやまろやかさが両立する。そんな印象です。
ちなみにですがダ・ヴィンチはなかなか作品が完成しないことで有名なんだそうです。
この「モナ・リザ」も、
依頼を受ける
→完成しない
→依頼者が「もう要らない」とキレる
→納入する必要がなくなったので長い年月をかけて描かれる
という歴史・経緯があるんだそうです。
3)高いレベルでのリアリティ(写実性)
上記2つと並列というよりは、上記のような要素の結果という感じですが、
最終的には楽器ものでもボーカルものでも、そのリアリティ、再現性、写実性、
生々しさみたいなものを存分に感じさせてくれます。
上記のような要素以外にもウッドハウジングによる自然な響きや、ハイレゾの効果については
人によっていろいろと意見はあるでしょうが、52,000Hzまでという余裕のある再生周波数
なんて要素も絡んでいるかもしれません。
どうしてもいいことばかり書きたくなりますが、
遮音性はかなり低いです。その点私は問題ないですが、遮音性を重視する方には間違いなく向きません。
また、低音も控えめです。もっと量感、密度感がありパンチやキレのある低音を聴かせてくれる
イヤホンはたーーーくさんあります。低音の量感にこだわりがあるような方にもまるで向かない
イヤホンだとは思います。
■Victor「HA-FW10000」のデザイン
デザイン性についてはなんというか「格好いい」というものでも・・・ない。そんな気がします。
高級感があって所有欲を満たしてくれますが、格好いいかと言われたら・・
何か違う気がするんですよね。
一応改めて言っておきますが、私はこのイヤホンが大大大大大好きです。
イヤホンについて全く詳しくない人が見たとして、「変わったイヤホンだね」と言われることは
あっても「格好いいイヤホンだね」とはあまり言われないような気はします。
上記写真ではイヤーピースをつけていませんが、日頃の運用上はJIJU-JETをつけています。
ビジュアル的にはさらに奇抜になります・・・。
このJIJUというイヤーピースを知らない人が見たら、その人の目には私はかなりおかしな人に
映るでしょう。きっと友達にはなってくれません。
とは言え、このイヤーピース一度試す価値はあります。どのイヤホンとの組み合わせでも試す価値は
あると思いますが、FW10000との相性もいいように感じています。
少々お高いですし、やはりこの形状なので装着感はハマるところを見つけるのに苦労するかもですが・・・
是非一度試してみてください。
正直見た目はかなり・・奇抜です |
イヤーピースはかなりいろいろ試して変遷してきました |
■Victor「HA-FW10000」のリケーブル
素晴らしいイヤホンなので、リケーブルによりさらに高みを目指せないかと考えだします。
これまでもいくつか試してきましたが、最終的にはこの標準のケーブルが一番バランスがいい感じがして
戻ってきています。
例えばfinalの「シルバーコートケーブル」はよりエッジがきいたような鋭利な、硬い音になります。
特に私のような硬めの音が好きな人間にとってはそれはそれでありなのですが、好きなポイントとして挙げた
「まろやかさ」と両立された状態のほうが好き&バランスが取れていると感じて戻りました。
なんだかんだでここに落ち着く標準ケーブル |
ですが、FW10000のリケーブル探しは諦めていません。
大好きなイヤホンであるがゆえに音的にはもちろんのこと、ビジュアル的にも妥協をしたくなく
装着したときにイヤホン本体と雰囲気がマッチするもので・・・なんて考えているとなかなか手が出ません。
という状態だったのですが、実は先日新しいものを購入しました。
購入したのですがDACが修理に旅立ってしまい、まったく試せていません。
修理から戻ってきたら試してレビュー書きたいと思います。
【追記】2021/9
ちなみに、今となってはレアな接続方式で、これから台頭することはおそらくないんでしょうが、
プレイヤー/DAC側も二股に分かれているJVCのバランス接続ケーブル「CN-HM01MB」へのリケーブルも
試していますので、ご興味ある方はこちらをどうぞm(__)m
バランス接続ケーブル「CN-HM01MB」 |
2018年11月発売ということで、結構な年月が経過していますが、私の中ではいまだにNo.1です。
確かFAudioのMajorと発売時期が近くて、Majorを目当てに試聴しに行き、横に置いてあった
このFW10000を「ついでに」試聴したのですが、その時の衝撃は今でも覚えています。
どうしても欲しかったのですがどこも在庫がなく、家電量販店やその他の通販サイトをいくつも
常時監視して「入荷したら即ポチる!!!!」という意気込みで待ったものでした。
そしてこのイヤホンに代わるものをいまだに見つけられません。
いつかはNO.1の座を譲るのかもしれませんが、ずっと大事にしたいイヤホンです。
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